時系列としてはコプターがたるジェットレースのためにクレムリン島へ来た話。完全にほのぼのギャグ。書きたい話を詰め込んだ短編集になってしまった。
レースする描写はほとんどない。ただたるジェットレースに登場したクレムリンの日常話的な。
実は去年(2024)の2月に初めて書いて本来はレース込みで長編にする予定が最後の8月にまで放置していて、もし今後のドンキーコングシリーズで彼らの口調や設定が固定化されてしまったら没になるので、折角だからそのまま公開しようと思う。
地の文を加えても良かったが、ギャグ寄りで相性が微妙なのと、考えるのにも時間がかかるので最低限にしつつ、そのまま「台本形式」で投稿しようと思います。
ウチのクレムリンは大体こんな感じのキャラ設定なのを理解してくれたら幸い。
※スーパードンキーコング3、たるジェットレースクレムリン初登場。解釈違い注意。
※たるジェクランプと64クランプ、たるジェコプターと3コプターが同時に存在している(別個体扱い)。
※誰かの葛藤がなければオチも微妙。それでも良ければどうぞ。
コプター出発前のお話
コプター「じゃあ、行ってくるんだぞ!」
カオス「オ気ヲツケテ行ッテラシャイマセ、コプター様」
クチャカ「ゲポポ〜、頑張ってゲポ~」
コプターがレースのためにクレムリン島に行くため、クレミス島のクレムリン皆でコプターを見送るようだ。まずはその場から動けないカオスやクチャカに挨拶を済ませるコプター。
〜カオスの隠れ家入口にて〜
クランプル「必要なものは全部所持しましたか?」
コプター「持った」
クランプル「初対面の者、目上には敬語を」
コプター「心掛けるであります」
バス―カ「クランプルは相変わらず心配性なのだ」
クランプル「何時までも彼に過保護な貴方には言われたくありませんね」
コインドーザー「言えているぜ」
コイン「しかもバズーカより二倍大きくなっているしな」
コプター「はあ、もうガキ扱いする年齢じゃないから、皆心配はほどほ……」
ドタドタ!
カフ「コプターちゃん~!辛子肉まん作ったよーん!」
クラウト「道中お腹空くでしょう、今日中に食べてねーん!」
コプター「炭水化物…… あ、助かるぞ、カフ、クラウト」
コプターは彼らから肉まんが入っている紙袋を受け取る。
リコイル「リコッチは羨ましいんだよ~!コプッチが目立つところへレースしにいくんだから~」
コブル「でも、そのレースはかなり危険って言われているみたいっす」
スキッダ「スキッダたちには無理だけど、コプターならいけるっスね」
コプター「当然だろう。……そう言えば、ノッカとクラスプは?」
クリンプ「……ワニ!コプター、来た、ワニ!」
ノッカ「コプター!出発前のハグがやりたいゲポ!」
クラスプ「クラスプもー!」
ノッカは立ち止まったが、クラスプが突進してきてぶつかり……
ドカーーン!
コブル、スキッダ「「やっぱりーー!」」
コプター「まあいいや、最後に……」
いつもことなのか何事もなかったかのように、最後に挨拶するクレムリンのところへ行くコプター。
子コプターたち「「親分!」」
コプター「しばらく留守にするが皆の言うことちゃんと聞いておくんだぞ、お前たち」
子コプターたちのヘルメットを撫でるコプター。
子コプター「もう、コプターたちを子供扱いしないでほしいであります」
コプター「うん、ヘルメットなでなでは、嫌だったか?」
子コプター「それは……でも、何だかクルール様みたいで嬉しいであります!」
コプター「そうか、自分も大きくなったんだな……」
子コプターたち「「ワー!」」
と今度は子コプターふたりを笑顔で抱っこするコプター。
コプター「こんなことも軽々と出来るようになったしな~」
子コプター「これじゃ本当に子供扱いであります!」
バズーカ「まるで親子みたいなのだ。ウウッ……昔はコプター、バズーカより小さかったのに、こんなに大きくなるんなんて……」
コイン「感動し過ぎだろー!」
コインドーザー「あといつ頃の話だぜそれ。まだ二足歩行が出来ない幼体だぜ」
クリンプ「クリンプと、同じワニ」
クランプル「貴方と出会ってあれから何十年経ったか…… まさか頭だけでなく身体まで、こんなに成長するとは思いませんでしたよ」
コプター「なーに、自分が望んだことだ。こうでもしないと、ただサル共やプレイヤーに舐められるだけだからな」
クランプル「ええ、そうでしたね。むしろあの時以上にウザがられるかもしれませんが」
コプター「そうなったらコプターとしては嬉しい話だぞ。……あと、皆、今まで世話になった。本当にありがとうな」
クランプル「ふう、ようやく言ってくれましたね」
コプター「?」
バス―カ「エッ!? もしかしてバズーカたちの元へは帰ら……」
コイン「いやいや、臨時の派遣契約だからレースが終わったら戻ってくるだろ」
リコイル「そうだよ~ 永遠の別れじゃないんだよ~!」
コプター「あ、ああ、そうだった。皆、コプターが子供の頃からよく世話になっていたから、つい言いたくなったんだぞ。今更言ってもアレだけど……」
コプターは一歩、二歩と前に進み、皆が見える前でたるジェットを起動する。さらに後ろを振り返ると、
コプター「でも、久しぶりにクルール様からのお呼び出しがかかったんだ。だからクレミス島のクレムリン代表として恥じない走りを見せてくる!みんな!応援よろしくだぞー!」
再び前を向きつつ、たるジェットのタルの両側を同時に素早く叩く『ロケットスタート』という、さり気なく高難易度技を成功させながら、クレミス島から飛び去るコプター。
子コプターたち「「親分、頑張ってくるであります!」」
カフ、クラウト「「コプターちゃん、気をつけてねーん!」」
バス―カ「うわーーん!コプター!寂しくなったら何時でも帰ってくるのだー!」
クランプル「……あんなに小さかった子が、今はこんなにも逞しくなっている。本当に感謝ですよ、コプター」
門番にあいさつ
コプター「(よし、到着。クレムリン島はここで合っているな……)」
クリッター「やあやあ、クリッターたち。今日も門番ご苦労さん。ん?なんだアイツは?」
門番1「見たことない奴だ」
門番2「早速捕らえるか?」
クリッター「……いや、待てよ。あの装備、クルールさまが言っていたあのクレムリンの可能性があるな」
門番1「えーあんなちっこくて!?」
門番2「子供みたいな奴がか!?」
クリッター「よーし、ここはオレさまに任せときな!いっちょ肩慣らし程度に歓迎してやるぜ〜」
と自信満々に右肩を左手で抑えて右腕を回しながら、その者の方へ向かうクリッター。
クリッター「おい、止まれ!そこのガキンチョ!」
コプター「!?」
クリッター「お前、今日ここに来る予定のクレムリンなんだろ?」
コプター「……アァ、話が早くて助かるであります。自分、クルール様の命でここへ来た、クレミス島の飛行戦闘員『コプター』であります」
コプターはクリッターたちに丁寧に挨拶した後、敬礼をする。
コプター「早速クルール様の元へ通して欲しいのでありますが……」
クリッターたち「「ガハハハハ!」」
コプター「……? 何が可笑しいのでありますか?」
門番1「こんな非力で真面目なチビを呼び出すとは、クルールさまも変わった方だ」
門番2「どっちみち力も、大きさも、オレさまたちの方が上だしなあ」
コプター「……へ?」
クリッター「だから、ご丁寧に挨拶をした所でここを通すわけねェってことだよ!」
クリッターたち「「じゃ早速、勝負だ!!」」
~1分後~
コプター「ふゥ…… あっ、急がないとクルール様に怒られるであります!」
門番1「ぐふぅ、何者なんだ、アイツは……」
門番2「チビのくせに、強すぎる……」
クリッター「もう動けない……ガクッ」
コプター初見の子供たち
~クルールの指令室にて~
クルール「ということで、オレさまたちの他に新たなレーサーをある島から呼び寄せた。みんな、仲良くするんだぞ」
クラッジ「分かった。オデ、仲良くする」
キップ「ねえねえ、それってボクみたいな男の子?」
キャス「それとも可愛い女の子かしら〜?」
クルール「えっと、確か数年前に撮っていた写真が……」
ガサゴソと棚を探るクルール。
クルール「これだ」
そしてそのクレムリンの写真をキップたち見せる。黒いヘルメットを被り、大きなプロペラを持って立っている黄色い子供のワニだ。
キップ、キャス「「子供だ〜!」」
クラッジ「本当だ。オデに、なついてくれる?」
クルール「あー見えて真面目な奴だったからな。じゃあ、オレさまは自作たるジェットの制作途中だから、後は任せたぞ」
指令室から出て通路を歩きながら、キップたちは先ほどクルールから貰ったコプターの写真を興味津々で見ている。
キャス「アタシたちとほぼ同じサイズだし、イジりがいがありそうよね!」
キップ「だよね〜 早速イタズラでも仕掛けようかな〜」
コプター「クレミス島から来たコプターであります。これでも滞空経験は豊富でありますので、もし困ったことがあれば自分に……」
そして実際に来たコプター。頭にプロペラがついた黒いヘルメットを被り、バックパックなどの装備を整えている黄色いオトナのワニだ。
キャス(しゃ、写真と全然違うじゃない!)
キップ(明らかにボクたちより大きかった……)
クラッジ(でも、オデから見れば、小さい、な)
たるジェットレースの精鋭たち、交流会を始める
カリプソが運営する『ワールド・カイマン』にて。数日後に開催されるたるジェットレースへ参加するクレムリン同士の交流会ということで、本日は貸切だ。
クリッター「ハァー!?まさかの無敵キャラ!?」
コプター「そういうこと。今日は少し気分が良かったから、加減はしたつもりだがな」
クリッター「えぇ…… こっちは1分でダウンしたんだぜ……」
カリプソ「相変わらず戦闘員のクリッターたちは、客を歓迎するのがお上手のようね」
キップ「物理って感じだよね〜 門番さんたちと一緒に挑んだくせに」
キャス「普通に返りうちされてやんのー」
クリッター「グサッー!」
クランプ「やあ、私を含めて、たるジェットレースへ参加するクレムリン精鋭諸君!今から交流会を始めるぞ〜」
そこへ遅れてやってきたクルールの参謀クランプ。以前とは違う容姿で、緑のヘルメットではなく木製のバケツを被っているようだ。
キップ「やった!パーティーだー!」
クラッジ「ワ~!もしかして、ごちそう、おなかいっぱい、食べれる?」
クランプ「勿論だよ。ほら、沢山お食べ」
そしてこの日のために買ってきた食べ物たちをテーブルに置くクランプ。しかし内容は、どれもこれも、
クリッター「えっと、鳥の唐揚げに、フライドポテト、ピザ、おりぎり、菓子パン、ミートパスタと……ホールケーキ!?」
キャス「キャ~、全部美味しそう〜!」
クラッジ「いただきまーす!(ガツガツ)」
クランプ「キップ君はドーナツが好物だったよね?しかも揚げたて数分前のをセット買ってきたよ〜」
キップ「わーすごくうれしい!ありがとうクランプおじさん!」
クレムリンの子供たちは大喜びし、ひとりの大きなクレムリンは食べ物に食らいつく一方で、
コプター「ウナナッ…… なんという油と糖分の塊……」
カリプソ「子供たちは大喜びだけど、アタイらみたいなオトナのワニには腹に来そうなメニューね」
クリッター「そうだぜ。あ〜せめて酒に合うおつまみが、もっとあればなあ〜」
クランプ「カリプソ君、それに皆も、今日は私からの奢りだ。1番いい酒を頼むよ」
クリッター「エッ!? マジですかい!」
コプター「感謝であります!」
カリプソ「まあ、うふ…… 優しいのね、クランプ参謀。ちょっと待ってて、今倉庫から取ってくるわ」
ワニの基本的な食事
クリッター「結局鳥の唐揚げしか食えんなあ……」
クランプ「私は普段からつまみは、炭水化物オンリーだけどね〜」
クリッター「どういうこっちゃ! 逆に戻しそうで怖いですぜ……」
コプター「うんだぞ。アルコールを分解するには炭水化物が効果的だが、コプターからしてみれば毒みたいなものだぞ」
クランプ「へーもしかして、リバースした経験があるのかい?」
コプター「サー、単純に太りやすいからであります!ついこの間、体重を測ったら0.5kg増えてショックでありましたし……」
クリッター「細か!てか、女子かよ!」
コプター「飛行に支障が出るんだ! だから栄養過多にならないように1日1回の食事で満腹にしておく。それがコプターの食事スタイルだぞ」
クリッター「やっぱり細かかった……」
キップ「エー!食事は1日3食が当たり前〜って聞いたことあるのに」
キャス「逆にお腹空かないのかしら〜」
コプター「ワニは最高で2週間食事を取らずとも生きていけるんだ。なんせこのコプター、生まれた時から自然環境での自給自足生活だぞ。キップたちも一度経験してみても良いかもなー?」
キップ「いやいや、ボクには当分無理そうだよ~」
キャス「もしツヤツヤしたアレがいっぱいいるなら、絶対にやりたくないわ……」
コプターからの差し入れ
コプター「あ、そういえば出し忘れていた。これ、皆に差し入れだぞ」
とそれを取り出しテーブルに置くコプター。
クリッター「あれ?パックに入っているぞ」
コプター「凍らしているんだ。後でカリプソにキッチンを借りて解凍するけどな」
クラッジ「お、それって、おいしい?」
コプター「ヘヘッ、当然だぞ」
キップ「何それ気になる!」
キャス「早く見せてちょうだい!」
コプター「了解した。その名も新鮮なウシガエル!」
パカッ、と中身を見せるとそこには大量に絞めたウシガエルが丁寧に並べられていた。
キャス「ギャーー!!」
クリッター「ウヒョー!しかも沢山!」
キップ「ウシガエルって、食べたことないけど本当に美味しいのかな?」
キャス「ま、ま、不味いに決まっているじゃない! あのツヤツヤと、見た目が、とても気持ち悪いのにー!」
コプター「って、コラー!キャス!折角、子分や仲間たちと一生懸命かき集めた食材に対して、なんて事言いやがるんだー!」
キャス「だってアタシ!カエル嫌いなんだもん!」
クラッジ「ガブ、コレ、味ないけど、カタくておいしい(ボリボリ)」
コプター「そしてクラッジ!それはパックの蓋だから食うなー!」
カリプソ「ほら、もうその辺にしときなコプター先輩。良かったら、解凍してくるわよ」
コプター「あっ、助かるんだぞ~」
クランプ「いやーこれまた、とんでもないものをいっぱい持ってきたね〜」
クリッター「これは酒のつまみに合いそうですぜ!」
コプター「ヘッヘーン、喜んで貰えてなりより」
クラッジ「ウマウマ……」
キップ「鶏肉みたいで美味しい!キャスも1つ食べなよ〜」
キャス「む、無理、絶対無理」
みんながみんなウシガエルを生で食べる中、離れた場所で背を向け首を振るキャス。
クランプ「これは良いな。昔新兵だった頃、池で捕まえてよく食べていたものだ。特に醤油を付けて丸呑みするのが美味かったんだよね〜」
クリッター「う、試したことねぇや…… カリプソの姉貴!醤油!」
カリプソ「はいはい。試しに半分は皮を剥いで唐揚げにしても良いかもね。こうすればキャスも食べてくれるはず」
コプター「へえ~、もしかして見た目だけを嫌っているって話か?」
カリプソ「そういうこと。言わなければ問題ないわ」
クランプ「あ、唐揚げも良いんだよね〜」
クリッター「むしろオレさまはこっちが好物ですぜ!」
大食男クラッジ
クラッジ「ガツガツ」
キャス「クラッジはよく食べるよね。ふぁ〜アタシも限界が来ちゃったわ」
キップ「むにゃ……そうだね、ボクももう食えないや……」
カリプソ「おや、ふたりとも随分と眠たそうだね。お姉さんが寮まで送ってあげるわよ」
と店を後にするカリプソと子供たち。
クラッジ「ガツガツ」
コプター「……1つ気になっていたんだが、クラッジって酒は飲まないのか?」
クリッター「一応オトナですぜ。何でも食うし、何でも飲む。けど……」
クランプ「彼、実は酒に弱くてね。ある時飲める年齢になって、皆でお祝いしたんだが、そりゃまあ、手もつけられほどに大暴れしちゃってね……」
クリッター「クラッジは全く覚えていないようでしたけど」
コプター「と、とんでもねェな…… でもクルール様なら止められそうな気もするんだぞ。ほら、ウチの島の最強双子、カフとクラウトを負かすほどの力はあるって……」
クランプ「いや、パンチで普通に吹っ飛ばされていたよ。最悪壁が壊れて海へと投げ出されたとか」
コプター「ウヘッ!? ラスボスなのにー!?」
クランプ「要するに彼が一度暴れるとクレムリンの誰もが手がつけられなくなるのだ。だからコプター君も彼を怒らせないように気をつけてくれたまえ」
クラッジ「……足りない」
クランプ、クリッター「!?」
クラッジ「もっと、食べたい」
クランプ「あっ……ちょっと待っててね」
クランプ「今から行っても購買は閉まっているし、カリプソ君も不在だし…… とりあえず遠くのコンビニまで行って買ってくるしか」
クリッター「いやいや、ここはオレさまが。参謀、足遅いでしょうよ!」
クランプ「結構迷うけど良いのかい? 君がこの間迷子になったって話を聞いたのだが」
クリッター「もう迷いませんって!オレさまに任せて下さい!」
クラッジ「おなかすいた、早くしろ」
クランプ「ま、不味いなあ……」
クリッター「もう早く決めて下させぇよ!」
コプター「仕方ない。なら、コプターが空を飛んで買ってくるんだぞ」
クランプ、クリッター「どうぞどうぞ」
コプター(何だこれ)
遅刻者は誰だ〜?
こうしてたるジェット飛行に適性がある選ばれし7体のクレムリンたちが交流会を楽しんだ次の日の早朝、クルールの司令室にて。
クルールの参謀であるクランプは慌ててきて敬礼しつつ大きな声で、
クランプ「おはようございますクルール様!クランプ、只今、到着しました!」
クルール「1分遅刻じゃー!」
クランプ「ほえー!? い、1分遅刻!?」
ただし集合時間より1分遅刻していたのかクルールに早速叱られるが、既にいたカリプソは司令室のモニターに映る時計を見て、
カリプソ「クルール様、まだ9時9分だよ」
クルール「ア?」
キップ「よーし、間に合ったー」
キャス「9時10分に集合だったわね!」
どうやら子供たちは集合時間ピッタリで到着したようだ。要するにクランプは、
クランプ「遅刻してなかったみたいだ!クルール様もお茶目ですなあ〜」
クルール「おちょくるでないわ」
〜そして5分後〜
クリッター「ヨッシャー!間に合ったぜー!」
クルール「よく来たな、クリッター。って、間に合ってないわ!5分遅刻じゃ馬鹿者ーー!」
と、クルールに遅刻したお仕置として太い腕で首を締められるクリッター。
クリッター「イテテーーッ!確か、9時15分に集合だった気が……」
クルール「9時10分じゃ!馬鹿者!」
クラッジ「ウワ、何だか、苦しそう……」
クランプ「君も、気をつけないと駄目だよ」
そして一緒に来たクラッジも若干引くが、お仕置はされずクランプに注意されるだけで済んだようだ。
しかし手下が何かをしでかせばクルールにお仕置されることは、クレムリン軍団に入った以上、当たり前のこと。
むしろボスが厳しいからこそ強くなれて、現在コングファミリーとも対等に戦えている。ボスからお仕置されて、失敗を反省するのも成長の1つである。
……いや、この場合はただの遅刻であるが。
クリッター「えっと、何でオレたちを呼び出したんですかい?」
とクルールに質問するクリッター。お仕置されている最中の下っ端のクセに図々しい奴である。しかしクルールは怒ることなく、クリッターを解放して話を進めることに。
本番に備えてリハーサル訓練をするぞ!
クリッター「なな!本番まで、たるジェットのリハーサル訓練ですと!」
カリプソ「そもそもたるジェットで空を飛ぶ適性があるだけでも凄いのにさ、リハーサルまでやるとはね」
クラッジ「くんれん? いつもの、キントレ?」
キップ「違うよ、空を飛ぶ練習だよ」
キャス「でもアタシたち上手く飛べるのに、これ以上練習する必要ってあるの?」
クルール「そりゃ、オレさまたちが予め鍛えておけば、あのコング共にも一泡吹かしやすくなるしな」
コプター「我々が絶対に優勝するための事前対策…… 如何にも貴方らしい判断であります」
クランプ「って、あれ?コプター君?」
クリッター「遅刻しているなんてなあ!しかもオレさまたちより遅いなんて……」
コプター「いや、集合時間の15分前から到着していた」
クリッター「ウエッ!?スゴ!」
クルール「なんせ久しぶりに合う部下だからな。少しばかり話をしていたのだ」
コプター「もし訓練で困ったことがあるなら、自分に聞いて下さいであります。普段から空を飛んでいるし知識は豊富であります」
クルール「なんて真面目な子! お前らも見習うのだぞ。特に筋肉馬鹿のクリッターとクラッジはな」
クラッジ「ウガ、分かった~」
クルール「理解出来たなら良し!訓練の内容はオレさまが決めてあるから、それ通りに従えばいい。内容としては加速、左右移動、ジャンプなど色んな訓練を朝から夕方までこなしていくんだからな」
キップ「うわ〜 大変そう」
クリッター「そりゃそうだぜ。とにかくハードというか」
コプター「……クルール様の命令に逆らうのか?」
クリッター「いや、だって、空も飛べるのにさ、わざわざ練習する必要無いんじゃないかなって」
クルール「ン~? 今なにか言ったか?」
クリッター「あっ、いえ!何でも」
と再びクリッターの首を絞めるクルール。
クリッター「ギャーー!マターーァ!?」
クルール「返事は『はい』か『サー』を付けろ!っていつも言っているだろうが!勿論、お前たちも1番を取りたいよなあ?」
キャス「1番? そりゃ嬉しいわよ!」
クラッジ「1番、さいこう〜」
キップ「ねえねえ、表彰台とかあるんでしょ?ボクもテッペンに立ちたいよ〜」
カリプソ「でも、そのためには沢山訓練をこなしていかないとね」
クルール「そういうこと!分かったら解散!」
バディを組むがよい
クリッターたちが司令室から立ち去った後、
クルール「まあ、オレさまたちが生身で空を飛ぶことなど滅多にないからな」
コプター「サー!自分、クルール様よりかはたるジェットの性能や知識はまだまだでありますけど、コーナリングに関しては、良く知っているであります」
クランプ「ホェ? それは凄いなあ。ところで何故私たちは居残りなのでしょう?もしや、遅刻した罰!?」
クルール「そうそう、1分前でも罰を……って、そこまでオレさまは鬼じゃないわ!コプターもいるだろうが!」
クランプ「あ、そうでした!」
クルールとクランプの漫才のような会話にコプターは若干微笑む。
コプター「……」
クルール「コプターには予め話しておいたんだがな。クランプ、数日間の訓練を担当すると同時にレースが終了するまでの間、コプターと『バディを組め』」
クランプ「エ!?バディですと!? このコプター君と……」
クルール「そうだ。あの下っ端のクリッター以上に戦闘経験を積んだお前たちなら、彼らを引っ張っていける筈だと思ってだな。むしろふたりの方が色々と効率がいいからな」
クランプ「おーなるほど!てっきりクルール様が引っ張るかと思いましたぞ~」
クルール「色々と事情があって、レース中は不在のことが多いからな。今後とも真面目な後輩のことをよろしく頼むぞ、クランプ」
コプター「レース終了までよろしくお願いします、クランプ先輩!」
クランプ「はわ、こちらこそ宜しくね、コプター君!」
クランプはコプターに手を差し伸べると、コプターは握手を交わす。
クルール「以上!出ていってよし!」
クランプ、コプター「「了解!」」
コプター「では、失礼致しました!」
クランプ「では同じく、失礼致し……」
クルール「お前は駄目だ。ひとまず、これをだな……」
クランプ「え」
とクルールから紙を渡されるクランプ。
クルール「レースには皆の性能値も知る必要があるから、訓練中に調べておけ。勿論お前が担当だ」
クランプ「ホホウ、最古参ならでは〜ってことですな!本当に良かった〜!」
クルール「? 何が良かったんだ?」
クランプ「あ、はい…… こっちの話です」
クランプ「(ホッ、まさか初めて後輩とバディを組める日がくるなんて。嬉しいなあ)」
バディって何?
こうしてクルールからの命令でクランプとバディを組むことになったコプターはレースの精鋭たちに、自分たちが訓練を担当する報告をした後、次いでに話すことに。
クリッター「えークランプ参謀とバディを組んだんですかい!? しかもクルール様の命令で」
キャス「へ〜まるであたしたちみたいだね、キップ!」
キップ「そうだね、キャス!」
コプター「自分も正直驚いた。知り合ってまだ1日しか経っていなかったのに、彼と組む話を聞いた時は耳を疑ったんだぞ」
カリプソ「でも良いじゃないかい。貴方、どう見ても賢そうだし。クランプ参謀とお似合いだと思うわ」
コプター「へ?そうかな」
クラッジ「オニアイ? ウン? バディって、デート?」
クリッター「いやいや、恋人同士じゃねぇから。ていうか、両方とも男だから」
キップ「そうだよクラッジ。でも、バディを組むって何だろう?」
キャス「ふたりで組むって意味じゃないの? ほら、アタシたちみたいに一緒に行動する仲で……」
クランプ「それは私が解説しよう!」
クリッター「ワッ!? 急に後ろから出てこないで下せぇよ!」
クランプ「あはは、すまないねー」
コプター(もうクルール様からの用事は済んだのでありますか?)
クランプ(そうそう。あとコプター君、ここからは私と一緒に行動をするように)
コプター(了解であります)
クランプ「うむ、確かにキャスちゃんの言う通り、バディはふたりで組むという意味だが、ただ一緒に組むだけではないぞ」
キップ「?? それってどういうこと?」
クランプ「『バトル・バディー』だよ。例えば訓練中や任務時、常に相方と行動を共にし、それらが終わるまでは単独で行動することを禁止されている。もし上官にでも知られたら、懲戒処分を受けることになるからね」
クリッター「軍では良くある光景ですよね」
クラッジ「ウガ、とても、きびしい」
クランプ「そうだよ〜 中には相方が用を足す際やシャワーを浴びる際も、ふたりで個室へ入らなくてはならないルールもあったりするが」
キャス「えっ!? トイレも一緒に入る必要があるの!?」
キップ「シャワーもだよ。あと、何かキュウクツそうだし」
クランプ「昔の話だよ。今は個室に入らずとも扉の外側で待機するだけで問題ないからね~」
キップ、キャス「「ホッ……」」
キップ「でもたまには、ひとりになりたい時だってあるんじゃないの?」
キャス「そうだよね。せめて休憩時間だけは離れてもいいんじゃない~?」
コプター「戦場は常に死と隣り合わせの場所。武器を持ち、気を抜かず、いついかなる時も敵との戦闘に備えるのが掟……」
キップ、キャス「え?」
コプター「特に新兵の場合は単独行動が1番危険だ。敵の強襲に気づかず、命を落しやすい。しかし相方が傍に居ると周囲への警戒範囲が広がる。だからこそバディの存在は重要視されている。もし予め訓練で慣れておけば、例え複数の敵と戦闘になったとしても容易に切り抜けることが可能だからな」
クランプ「ふむ……」
クリッター「うぉ」
カリプソ「あら、まあ……」
クラッジ「??」
キップ「うわ〜 スゴイや!」
キャス「クランプおじさんみたいに、かなりの物知りなのね!えーと、コプターおじさん!」
コプター「グハッ!? そこはお兄さんと呼ぶパターンだろォー!」
クリッター「あれ? オレさまよりかは、年上でしたっけ?」
コプター「そ、そうだが、おじさんと呼ばれるほど歳食ってねェよ……」
キャス「ゴメンなさい。じゃ、お兄ちゃんで」
コプター「許す」
クリッター「それでもいいんですかい!?あと切り替えはや!」
クランプ「見事な解説だったぞ、コプター君。今回は戦場ではないとはいえ、これからも君に安心して背中を預けることが出来そうだね」
コプター「サー、ありがとうございます!」
キップ「わ〜 コプターお兄ちゃんのリアル敬礼だ!」
キャス「うんうん、なにげに初めてかも〜」
訓練をしよう!
クランプ「ということで、クレムリンの精鋭諸君!レースが開催されるまであと2日、リハーサルを兼ねてたるジェットの訓練だ。まずは加速の訓練をやるぞー!」
キップ「早速訓練かー。負けないぞー!」
クラッジ「オデ、1番、ニガテだけど、がんばって、たたく!」
カリプソ「おほほ、これはあたいの得意分野のようだね〜 むしろ教えてあげたいほどだよ」
キャス「アタシも加速だけは大得意よー!」
クリッター「皆やる気だなー。オレさまは加速もスピードも平均ぐらいだけど」
コプター「それは、コプターもだぞ」
クリッター「え?ってことはオレさまと同じ……」
コプター「滑空経験者を舐めるな。特にコーナーリングはプロ並みだぞ」
クリッター「スゴ!」
~訓練終了時間~
クランプ「よし! 今日の訓練は終了だ!明日に備えてゆっくり英気を養っておくんだよ〜」
クランプは終わりの合図を皆に出す。
そしてようやく訓練が済んだことにクリッターたちは、腕を抑えながら、
クリッター「お疲れ様でした! ふぅ、クタクタ……」
キップ「叩きすぎて、ウデが痛いよ……」
クラッジ「アア、オデも、すごく、つかれた……」
キャス「もう、情けないわね〜 アタシはまだまだ余裕だけど〜」
カリプソ「加速のコツは出来る限り力を抜いて叩くことさ。今度コツでも教えるわよ」
疲れたと声を上げるクリッターたち男性陣対して突っ込むキャスに、彼らにアドバイスを送るカリプソ。やはり加速のプロたちは伊達ではないようだ。
こうして解散後は、
キップ「キャス〜 一緒に帰ろう〜」
キャス「もちろんよ!キップ!」
クラッジ「夜はきけん、オデに、ついてこい」
キップ、キャス「「はーい!」」
性格は子供っぽいが一応オトナであるクラッジは、キップとキャスを寮まで送るようだ。まるで親子のような光景だが、ただ仲が良い友達のようで。
カリプソ「助かるよ、クラッジ。ふっ、レースが開催するまではクラブハウスの仕事だね」
カリプソの本業ともいえるクラブハウス『ワールドカイマン』の仕事だ。
夜の仕事もあるとなると一見過労に見えるが、あまり表へ出ることがないオーナーなので、ほとんどの業務は従業員に任せるだけだろう。
ちなみに、
クリッター「オレさま、今日はすごく疲れたしな…… よし、飯食ってシャワー浴びて寝るとするか〜」
こちらは下っ端らしい奴である。
晩ご飯を食べようー
こうして訓練が終わった後のクランプとコプター。まだクレムリン島の敷地内にある施設のことを知らないコプターに大先輩であるクランプが教えているようだ。
クランプ「ここは浴場だよ。シャワー室もあるから好きな方を選んでね~」
コプター「入れる時間は消灯の1時間前まで……と書いているであります」
クランプ「あは、言い忘れていたよ。よく見ているなあ」
クランプは次の方向へ指を差す。
クランプ「そしてあそこは食堂。おかわり自由で、食券を使って料理を渡す式だから、自販機から食券を購入して受付に渡してね」
コプター「色々と設備されているんだな。ウチの隠れ家とは大きく異なる場所であります」
クランプ「そうなんだ。もしかしてこういう社食は未経験なのかい?」
コプター「まあ、ほぼ野生下で生活するのが当たり前だったから新鮮でありますね。今は隠れ家で料理の出来る仲間が振舞ってくれるから家庭的ではありますが」
クランプ「へー 君の所にも料理が出来るクレムリンがいるなんて、良い仲間たちに恵まれているね〜」
コプター「サー、揉め事などを起こさなければ、他クレムリンを歓迎してくれる優しい奴らなんで。もし先輩が良ければ、今後隠れ家に招待するでありますけど……」
クランプ「本当かい! 私、バロン様が率いていたクレムリンたちには一度も会ったことがないから、参謀兼大先輩の仕事としてクルール様に頼んでみようかな〜」
コプター「あ、ああ、無理しない範囲でお願いします……。ところで先輩はお風呂とご飯どっちにするでありますか?」
クランプ「ああ、そりゃ勿論……」
グゥーとお腹が鳴るクランプ。
コプター「……ヘ?」
クランプ「ご飯だね! まずは食堂へゴーだ!」
と、コプターを片手で抱き上げて早歩きするクランプ。
コプター「じ、自分で歩けるでありますゥー!」
〜食堂にて〜
コプター(メニューがいっぱいあるけど、小盛りはないのか……まあ、仕方ない。普通盛りの食事にしよう)
コプター「先輩は何を食べるんでありますか?」
クランプ「うーんそうだね。何を食べようかな〜 どれも美味しそうだし、迷うなぁ〜」
コプター(って、そんなに迷うことなのか!?)
せっかちなのですぐ決めるタイプのコプターと見た目通り食通なのかじっくり決めるクランプ。性格が真逆である。
と、そこへ、
キップ「あ!クランプおじさんだ!」
キャス「本当だ!コプターお兄ちゃんも一緒にいるよ!」
クランプ「こんばんは、キップ君とキャスちゃん。おや、今日は君たちだけで来るなんて珍しいね〜」
キップ「いいや、クラッジも一緒だよ!でも……」
キャス「今日は動きすぎて、お腹が空いているからって遅れて…… あ、ようやく来たわ!」
クラッジ「ウガー、やっとついたー! メシくれ、メシ!」
とそのまま厨房の受付に行こうとするクラッジに、
キャス「もうー!食券買わないと、ダメでしょー!」
とクラッジを連れ戻そうとするキャス。
キップ「と、とりあえず、ボクだけ選んでおくね」
クランプ「あはは、クラッジも相変わらず子供だね〜」
コプター「先輩、クラッジっていつもあんな感じ、なのでありますか?」
クランプ「そうだよ」
コプター「マジでありますか……」
料理を作っているのは……
受付に食券を置くコプター。
コプター「激辛手羽先揚げ一つ……」
?「かしこまり! って、見た事ないクレムリンがいる!?」
コプター「へ……? アレ、クランプ先輩!?」
クランプに似たクレムリン。
頭には軍用ヘルメットを被っているが、上半身にはエプロンを巻いているようだった。体色はピンクである。
クランプ「彼は64デザインのクランプだよ。私と同じく上級戦闘員だったけど、一部は食堂で働いて団員たちに料理を振舞っているんだ」
64クランプ「紹介どうも、もうひとりのクランプ。羨ましいな。まさか君がたるジェットレースに参加するなんて」
クランプ「そりゃ、クルール様の参謀だから。むしろ今は『唯一の個体』と言ってもいい」
コプター(唯一の個体? あーもしかして彼も……)
クランプ「クランプ代表として頑張って走るから応援よろしく!」
64クランプ「はいよ。そこの後輩ちゃんもクランプ参謀のことよろしくね!」
コプター「あ、了解であります!」
もうひとりのクランプに言われたコプターはキリッとして、彼に敬礼する。
64クランプ(ハェ〜 小さい子の敬礼なんて久しぶり見た…… 後輩はやっぱり可愛いなあ〜)
とそこへ来るクラッジ。計10枚それぞれ違うメニューの食券をカウンターに置く。
コプター(へッ!? なんだこの食券の数は!)
クラッジ「これ、ぜんぶ、たべたい」
64クランプ「かしこまり!」
クラッジ「やった!」
64クランプ「言っとくけど君、おかわり禁止だからね」
クラッジ「エッ!? どうして?」
64クランプ「いや、だってそりゃ……」
キャス「それだけあれば十分でしょ! また皆の食堂が使えなくなるのは嫌だからね!」
キップ「食堂のご飯は美味しいからさ。特にボクたちはタダで食べれるんだから我慢してよ」
クランプ「やれやれ、10個に制限されてもまだ懲りないんだね、君は」
クラッジ「ムゥ……」
皆から散々言われて、落ち込むクラッジはコプターを見つめる。
コプター「? どうした?」
クラッジ「じゃ、コプターに、おごってもーらおう」
64クランプ、キャス「「それもダメー!」」
辛口派と甘口派
キップ「その手羽先、スゴく辛いけど大丈夫?」
コプター「平気だ。むしろ自分は辛いものが好きなんだぞ」
キップ「そ、そうなんだ」
キャス「あ、アタシたちとは真逆ね」
コプター「へー。ならお前たちは甘いもの好きか。子供らしいな」
キップ「そうなんだよ。というより辛いモノのおいしさが分からないんだよねー」
コプター「確かに舌や喉が焼ける感じはあるが、量さえ調整すれば食欲がそそるし、食材が腐りにくいしと色々メリットがあるぞ。あと汗もかきやすいから、ダイエットにも効果的だ」
キャス「辛いモノって凄いのね。最近太り気味だから、今度チャレンジしてみようかしら〜」
キップ「とか言っておいて、中辛のカレーなんて一口も食べれなかったのにー?」
キャス「……なんか言った?」
キップ「な、何でもないよー!」
クラッジ「オマエ、気が合うな!オデも、辛いモノが、好きだぞ!」
コプター「へッ、だよな」
クラッジ「そして、それはオデの、大好物だ」
〜テーブルにて〜
クラッジ「ゲット! いただきます!」
キップ「うわー、いつ見ても辛そうだ。確かあのメニュー、今までクラッジしか食べたことなかったんだよね」
クラッジ「ガブカブ、オー!ウマイ!ちょうどいい、辛さだ!」
コプター「……」
コプターも一口、二口と食べていたが、食べるペースが遅い様子。そこへ自分が食べる丼を持って来たクランプ。
クランプ「お待たせ。アレ?もしかして、それ、相当辛かったかい?」
コプター「あ、あぁ、味自体は美味しいであります。でも、コプターにはちょっと辛さが足りない気がしたので……」
キャス「う、ウソでしょ!」
キップ「クラッジですら、ちょうどいい辛さだったのに!?」
クランプ「タバスコがあるけど、良かったら使ってみる?」
コプター「サー、お願いするであります」
キップ、キャス「「えーーっ!?」」
クランプ「うーむ、私も、別に辛いものが嫌いってワケではないが……」
コプター「5滴ほどでいいかな…… カブッ」
キップ、キャス「「はわわ……」」
コプター「……。うん、ほど良い辛さで美味しい! これでようやく完食出来るんだぞ!」
と食べるペースが早くなるコプター。これには子供たちはドン引き。
クランプ「良かった〜 クランプである私も見ていて幸せだ」
キップ「いやいや、あんなの見ているだけでノドが焼けそうだよ!」
クラッジ「アレを、かけると、もっとウマく、なれるのか……」
キャス「えっ? ちょっとクラッジ!?」
クラッジはコプターと同じように、タバスコ5滴を手羽先に垂らす。
クラッジ「ガブッ! ウガ、アッ!? 辛ーーッ!水くれ!水!」
キャス「なにやってんの、この馬鹿!」
キップ「あれ?さっき美味しいって言っていたのに?」
キャス「タバスコをかけたのよー!早く水持ってきてちょうだい!」
キップ「わ、分かったーー!」
キップは慌てて水を取りに行く。この光景を他のクレムリンにも見られており、
モブクリッター1「またあのクラッジが馬鹿やってるぞ」
モブクリッター2「子供たちも大変だなあ〜」
クランプ「良い子のみんなは間違っても、激辛料理にタバスコなんてかけて食べちゃ駄目だよ〜」
コプター(ある意味コントだな)
〜数分後〜
コプター「ご馳走様だぞ!」
キップ「おおっ!あんなに辛いの、よく全部食べれたね!」
クランプ「喉も乾いただろう。水でも飲むといい」
コプター「サー!」
満足してゴクゴクと水を飲むコプターと、それとは真逆にテーブルでぐったりするクラッジ。
クラッジ「ウー、ひどい目に、あった……」
キャス「まだ他の料理が残っているでしょ。全部食べなさーい」
クラッジ「そうだった。ガブッ、ア!うまい!ガツガツ」
コプター「こんなに沢山、良く食べれるなァ。そしてコプターみたいに早い……」
クラッジ「ごちそうさま!」
コプター「って、はやっ!?」
キャス「クラッジは早食いのプロなのよ〜 ついこの間のクレムリン大食い大会でも準優勝だったんだから〜」
コプター「へーそりゃ凄いな。アレ?準優勝? じゃあ優勝者は誰なんだ……?」
クランプ「私だ」
コプター「やっぱり貴方でありましたか!」
本番に備えて休む派と最後まで自主練する派
クランプ「よし!今日の訓練はここまで!」
キップ「アレ?もう終わり?」
キャス「やった!これで遊べるわね!」
クランプ「あはは、明日は本番だからね~ 遊ぶのもいいけど、レースに備えてゆっくり休むことも大事だよ~」
キップ、キャス「「はーい!」」
コプター「あとは自主練習だな……オトナ組の中で居残りしたい者はいるか?」
クリッター「ヨッシャー!オフだ!」
クラッジ「キップ!キャス!オデと遊ぼうー!」
コプター「……。じゃあ、カリプソは?」
カリプソ「あら、ごめんなさい。明日からはアタイがしばらく不在になるから、仕事が忙しいのよね」
コプター「そうか。でもアンタにとってはそれが優先だな」
カリプソ「一応クラブオーナーだからさ。でもレースには自信があるからね。明日から頑張りましょうね、コプター先輩」
コプター「ああ、また明日……」
クランプ「ふう……またふたりきりか」
コプター「カリプソや子供たちはいいとして、クリッターやクラッジは残るべきだと思うであります。あの雑な走りじゃ、サル共のかませ犬になるだけであります」
クランプ「真面目だね~ でも悪役としては弱い奴がいるだけで、クルール様が君が強く見えるってものだろう~?」
コプター「はあ、ポジティブでありますな、クランプ先輩は……」
タメ口で話そう
コプター「でも先輩と最後まで練習できるなら悪くないであります!早速走ってくるであります!」
クランプ「……ちょっと待って、コプター君」
コプター「? どうしたのでありますか?」
クランプ「前から気になっていたんだよ。今、君と私とでバディを組んでいるじゃない。私としてはお互い対等で話す方が性に合うんだと思うんだ」
コプター「へ?それって……」
クランプ「とりあえず、コプター君。今から敬語で話すのを辞めようか」
クランプのこの一言にコプターは焦りながら、
コプター「サー!? いくら先輩の言うことであっても、目上……しかも年配の者に対して、敬語を使わないで話すなんてコプターには出来ないでありますよ!」
クランプ「え~私は気にしないタイプなんけどね」
コプター「コプターが一番気にするであります!もしクリッターたちにでも聞かれたりしたら……」
クランプ「うーん。じゃあ、こうしよう。今みたいにふたりきりの時にだけでタメ口で話す、これでどうだい?」
コプター「は、はあ……」
クランプ「それに後輩なら先輩の言うことを聞くようなものだろう?」
コプター「わ、分かった!このコプター、今後はクランプ先輩とふたりきりの時に限り、タメ口で話すことを約束しよう!」
クランプ「あはは、いいねその口調!最高だよ~」
コプター「煽てないでほしいんだぞ…… でも呼び捨てにはしないからな、クランプ先輩!」
皆のたるジェットの性能値をまとめよう!
クリッターの場合
クリッター『ワイルドムーブ!』
キップ『やった!2コンボだ!』
キャス『どんどんいくわよ~!』
コプター「クリッター。下っ端のくせに、加速、スピード、コーナリング全てにバランスが取れている。特別強くもなければ弱くもない。しかし裏返せば特筆すべき能力がないこと。ワイルドムーブのコンボさえ多く繋げられたら、確かに強いが……」
クリッター『続いて3コン……アギャ!』
キップ『ジンガーにぶつかったー!』
キャス『運悪すぎでしょー!』
コプター「肝心なところで運が悪いのが目立っている。まあ、不運というより、この場合はワイルドムーブの持続時間を理解しきれていないミスとも言えるな」
クラッジの場合
クラッジ『ウガーー!MAX!MAX!』
クリッター『って、加速出来てるのか~それ~?』
コプター「クラッジ。彼自身、たるジェットの性能をあまり理解していないが、自分はスピードに特化しているとみた。その点、図体がデカすぎたことによるコーナリングの悪さと、とにかくタルを力任せに叩すぎて加速をするのに時間がかかっている」
キップ『おーすごく早いやー!』
クラッジ『やったー!……ウガッ!?』
キャス『もうー!どこみてんのよー!』
コプター「あととにかく一直線しか見れていない。横から来たジンガーにぶつかるわ、左右を見たと思ったらキップたちを見ていてアイアンバレルにぶつかりまくるわで、視野の狭さは最悪だ。自慢のスピードが疎かにならないよう、障害物には出来るだけぶつからなければ最高の走りが……いや、無理か」
キップとキャスの場合
クランプ「じゃあ、キップ君とキャスちゃんはどうだい?」
キップ『邪魔するぞー!えい!』
クラッジ『ウガッ!』
クリッター『ふっ……あぶねえ……』
キャス『残念!ワイルドムーブ~!』
クリッター『アギャーー!』
コプター「能力、身体と、共に成長していく子供なら、性能はあまり関係ないからな。もしサル共を蹴散らすなら、仲のいいふたりで攻めた方が得だから」
クランプ「あは、邪魔な奴らを蹴散らすのも、優勝するための1つの戦法ってことかい?」
コプター「ああ。あんな小さいながらも優れている走りだと思った」
クランプ「まるで昔の君みたいで」
コプター「……今でも普通に空は飛べるんだぞ」
クランプ「あ、ゴメンね〜」
コプター「強いて言えば、身体が軽いし、コーナリングがあると見た。キップはややスピードが低くて加速は普通、キャスは加速に非常に優れていて立て直しが早いがスピードが最も低い。こんな感じか」
カリプソの場合とまとめ
カリプソ『おほほ、華麗なる走りを見せてあげるわ~』
とすぐに加速をMAXにしたと思いきや、その直後にバレルを引っ掻いて壊し、ワイルドムーブで5コンボを繋げるカリプソ。宣言通り華麗なる走りである。これにクリッターたちは大興奮。
クリッター『流石だぜ~!カリプソ姉貴!』
キップ『クリッター兄貴よりスゴイや~!』
キップ『あたしも続く~!』
クラッジ『オデも、やる気、出てきたぞ~!』
クランプ「最後にカリプソ君なんだが……まあ、君の考えと一緒だと思うけど」
コプター「ああ、コプターと競り合えるほどに。動体視力、咄嗟の判断。優勝候補に近しい存在だ。もしかしてスポーツもやっているのか?」
クランプ「趣味でたまにね。でも、何となく彼女のたるジェットの性能は分かったよ。加速に最も優れていて、そしてスピードが高くて。カリプソ君は加速とスピードをアピールしていたけど、まさにそれだと」
コプター「あとコーナリングは微妙だがスピードでカバーしているのが分かるぞ」
クランプ「おお、流石はクレミス島のクレムリン、頭が冴えている。ありがとうね、コプター君。自主練もいいけど、私には皆の性能値を記録する仕事もあるからね~」
コプター「いいってことだぞ。そう言えば、気になっていたんだが……」
クランプ「?」
コプター「クルール様、最初からコプターにやらせれば良かったんじゃないか」
クランプ「え、ああ~!でも、もしかしたら試していたのかも!コプター君と協力してね!」
コプター「!そ、それもバディの内ってことか……あの方ならやりかねないな」
クランプ「……あとは私たちだけだね。私はスピード以外に自信ないけど……お互いに見て判断しよう!」
コプター「ケッ、任せろ。このコプター、最高のコーナリングを見せてやるぞ!」
本番に備えて最後の訓練。そして……
~次の日の早朝6時の訓練所にて~
コプター(まだ集合時間の8時まで時間がたっぷりあるな。自主練するか……)
コプター「アレ?」
クランプ「はあ、はあ、7コンボ……安定して、取れるようになったな……」
コプター「クランプ先輩!」
クランプ「コプター君!おはよう!」
コプター「おはようございます!あ、本番に備えて早朝から頑張っているなんて、流石先輩……」
クランプ「そりゃ、クルール様の参謀だし。確かに君に見てもらった結果コーナリングは悪かったけど、ワイルドムーブコンボさえ繋げられたら、トップを取りやすいってことを知ったからね」
コプター「そりゃ勿論だぞ!これだけコンボを繋げられたら優勝間違いなしだぞ!」
クランプ「だね!何ら私と一緒にワンツーフィニッシュ!なんてね」
コプター「クルール様もいるのに!? いや、あの方のことだから、普通にボロ負けするかもしれない……」
クランプ「じゃあ、8時までいっぱい練習しないとね~」
コプター「グヌヌ、最強の飛行戦闘員にかけて、やるぞーー!」
クルール「クウ~流石オレさまの参謀たち。クリッターたちにもこのようなやる気があればなあ~」
そしてその光景を上から眺めているクルールと、
?「むしろ、このふたりとお前さえいれば、十分ってものだろう?兄弟」
クルール「ああ。忠誠心も高いし、相当信頼しているからなあ」
?「クレムリンの中で唯一長々とテキストを話した個性豊かなこのおれも、レースに出たかったのじゃぁ~!」
クルール「作中でサル共を通した裏切り者が何を言うか。そもそもてめえは、たるジェットの適正がない時点で無理だよ!」
クラッバ「グヒャッ、それは失敬!でも応援にはクロンプやクリンガー、クロバーたちも駆けつけるからなぁ!頑張れよ~!キャプテン!」
クルール「言われなくても分かっているわ」
クルール「しかしレース中ではサル共もクレムリンも全員がライバル…… 奴らをボコボコにしてこのオレさまの優勝を飾ってやる!では、ドンキーコングたるジェットレースで会おう!フハハハハハ!」
THE END?